出展者インタビュー
熟練者の加工ノウハウをAIで会社の力に
CAM工程作成を最大75%短縮する
「Esprit Edge」と新AI機能「ProPlanAI」
Sponsored by:Hexagon Manufacturing Intelligence株式会社
CAMソフトウェア
「Esprit Edge(エスプリ エッジ)」
AI機能「ProPlanAI(プロプランエーアイ)」
Hexagon Manufacturing Intelligence株式会社
工作機械は1台で何役もこなす複雑な機械へと進化しています。しかし、その能力を引き出すプログラムづくりには、いまも熟練者が欠かせず、作成にかかる手間や時間が現場の負担となっています。Hexagon Manufacturing Intelligence株式会社(以下、Hexagon)がJIMTOF2026で紹介するのは、工作機械を仮想空間に丸ごと再現するCAMソフトウェアEsprit Edge(エスプリ エッジ)と、社内に蓄積された検証済みデータから自社の加工方法を学ぶ新AI機能ProPlanAI(プロプランエーアイ)です。加工前の検証と熟練者のノウハウ継承をどう両立させるのか、製造用ソフトウェア事業部 ゼネラルマネージャーの溝脇恒幸さんに聞きました。
複雑な工作機械の動きを、加工前にデジタルツインで検証
工作機械を動かすプログラムの作成には、機械が高性能で複雑になるほど専門知識が求められ、設定や確認の負担も大きくなります。その作業を支援し、機械の性能を引き出すのがCAMです。Hexagonが展開するEsprit Edgeは、複雑な工作機械のプログラミングに対応。長年培ってきたCAM技術をベースに開発され、機械メーカーとの協力によって、実機に即したプログラムを作れることが強みだと溝脇さんは説明します。
Esprit Edgeが備えるのは、現実の工作機械を仮想空間に再現するデジタルツインです。
「機械本体だけでなく、工具や治具、加工する部品まで画面上に再現します。実機にプログラムを送る前に、機械がどう動くのか、工具や部品がぶつからないかを確認できるのが大きな特徴です」
CAMによっては、シミュレーションと実際に出力されるプログラムに差が生じ、機械の前で手直しが必要になることがあります。Esprit Edgeは仮想の機械の中でツールパスを組み立て直してからプログラムを出力するため、画面で見た動きを実機で再現でき、編集の手間を抑えられます。
この違いがとりわけ効いてくるのが、複数の軸や工具が連動する複合旋盤やスイス型CNC自動旋盤です。
溝脇さんは、スイス型CNC自動旋盤でのメリットをこう説明します。
「スイス型は、限られた空間の中で多彩な動きをするため、加工中の様子を目で確認するのが難しい機械です。内部でどのような加工が行われているのかを見られることには、大きな意味があります」
「あの人にしかできない」を、会社の資産に変える
JIMTOF2026では、企業ごとの加工実績を学んで工程づくりを支援する新AI機能ProPlanAIも紹介されます。背景にあるのは、製造現場の高齢化と若手人材の不足です。工具の選び方、加工の順序、切削条件。こうした判断は、熟練者の経験に委ねられがちで、その担当者が退職すれば、培われた技術まで失われかねません。
ProPlanAIは、実際の加工で使われ、社内に蓄積されたプログラムをクラウド上で学習します。新しい部品を手がける際には、過去の似た工程と、利用できる機械や工具の情報を照らし合わせ、その会社のやり方に沿った工程を提案します。従来のルールベース自動化との違いについて、溝脇さんは次のように説明します。
「従来のルールベースの自動化では、形状ごとに使う工具や手順を人が一つずつ設定する必要がありました。ProPlanAIは、蓄積された加工実績をもとに工程づくりを支援する点が大きな違いです」
効果は継承だけではありません。実績のあるプログラムを土台にすることで、担当者による加工方法や仕上がりのばらつきを抑えられます。デジタルツイン上で試行錯誤できるため、若手が実機を止めずに経験を積める点も育成につながります。
加工方針を決めるのは人、それを支える三つのAI
ProPlanAIが担うのは、人に代わって加工方針を決めることではなく、その判断を支えることです。人が加工したい箇所を決めると、ProPlanAIが過去の実績をもとに加工方法を提案します。
こうした人の判断を、役割の異なる三つのAIが支えます。ProPlanAIは過去の実績から加工方法を提案。機械認識型AI(Machine Awareness AI)は、機械の構造や動作上の制約を踏まえてツールパスを調整します。Hexagon Copilotは、操作上の疑問にチャットで答えます。
ただし、何を最適とするかは、保有する工作機械や工具、求められる精度によって変わります。たとえば同じ形状でも、加工時間を優先するか、面の平行度を優先するかで、選ぶ加工方法は異なります。
「AIが進化しても、どこを、どのように加工するかを決めるのは人です。そこには、オペレーターが培ってきたノウハウが欠かせません」と溝脇さん。AIが提案や確認を担うことで、蓄積された知識をより多くの担当者が活用できるようになります。
工程作成を最大75%短縮、生産量が15〜20%伸びた事例も
ProPlanAIが主に支援するのは、CAMプログラミングのなかでも特に負担の大きい工程作成です。使用する工具を選び、加工の手順を組み立てるこの作業は、全体のなかでも大きな割合を占めます。
「従来は、加工方法を考え、工具や工程を一つずつ設定する作業に、多くの時間がかかっていました。ProPlanAIは、加工したい場所と方法が決まれば、過去の実績をもとに工具や工程を割り当てます。その工程作成にかかる時間を、最大75%削減できます」と溝脇さんは説明します。
効果は部品や加工条件によって変わりますが、すでに導入している企業では、ProPlanAIを活用する部門の生産量が15〜20%増えた例があります。また、経験の浅いスタッフが約8か月で戦力となるプログラマーに育った例も報告されています。
ProPlanAIを使い始めるには、まず加工実績のあるプログラムを最低50件用意します。溝脇さんによると、50件から始められるものの、初めはAIの提案を人が手直しする必要があります。実績を蓄積し、200~250件ほどになると提案の精度が上がり、修正の手間も少なくなっていくといいます。ほかのCAMから移行する場合も、これまで使ってきた工具データや加工条件は活用できます。一方、工作機械の動作についてはEsprit Edge上で新たに設定する必要があります。Hexagonが立ち上げを支援し、実際の業務で使いながら、半年程度で本格的に運用できる状態を目指します。
実際の操作とデモで、自社の加工課題を相談
JIMTOF2026のブースでは、Esprit Edgeを操作しながら、デジタルツイン上で機械がどう動くのかを確認できます。ProPlanAIが加工方法を提案する様子や、加工サンプルも紹介。自社で作りたい部品や現在の課題を伝えれば、どのような加工ができるのか、画面を見ながら具体的に相談できます。
溝脇さんは、AIという新しさだけでなく、実際の加工にどう生かせるのかを確かめてほしいと話します。
「AIという言葉だけが先行している面もあります。これまで手がけていない加工に取り組みたい方や、複雑な機械の能力をさらに引き出したい方には、ぜひブースへお越しいただきたいです」
E2013ブースには、CADに加えCAMソフトウェアなどHexagonのほかの製品も並びます。AIやデジタルツインを自社の設備や加工にどう取り入れられるのか。実機や画面を見ながら、自社の課題に合った使い方を具体的に探れる場になりそうです。